Tuesday, November 23, 2010

フランクリン・J・シャフナー監督の「パピヨン」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.55

1973年、「パットン大戦車軍団」のフランクリン・J・シャフナー監督による「パピヨン」を見るのはこれで何回目か。しかし健忘症の私はどんな映画も見るはなから忘れていくので、今回もまるではじめてのような新鮮な思いでデジタルハイビジョンの鮮明な画面に見入った。

2度にわたって無謀とも思える逃亡を企て、それぞれ2年と5年の追加拘禁刑を受けた主人公は、無実の罪で仏領パプアニューギニアの絶海の孤島に流されるが、白髪の歳になっても脱出の夢を果敢に追い求め、そしてそれに成功する。

これは実話らしいが、寄せては返す波の数を7つまで数え、第7番目の波に乗れば外洋に出られると見ぬくパピヨンの眼光のなんと鋭いことよ。

それにしてもあの厳重な監視を潜り抜け遼友の血の犠牲にもめげず、原住民の美女の誘いにも乗らず、あくまでも巴里への帰還を目指す男の強固な脱出願望には驚くほかはない。
けれども、そんな脱出者も偉いが、あのような孤絶した監獄に勤務する兵士の孤独もいかばかりであったろうか、と妙なところに目がいく映画でもある。


生きながら死んでゆく日々わたしも日本も 茫洋

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