バガテルop115
青白い花が近所の草むらに咲いていました。
とても珍しい可憐な花です。私が写真を撮っていると、通りがかりのハイカーも数人立ち止まり、
「トリカブトに似ていますね」
「いや、あれは夏の花だからね」
「それでは、いったい何の花でしょう?」
「らんらんランラン蘭の花? あなたのお名前なんていうの?」
なぞと喃喃喋喋、丁丁発止と楽しくおしゃべりしたのが昨日の午後のこと。
今朝早速もう一度撮影しようと現場を訪れましたら、影も形もありません。
気をつけてよくよく探してみたら、花があったと思しきあたりに、ぽっかり開いた黒土の穴。一昼夜の間に花盗人が鼠小僧のやうにやってきたのでせう。
無残に花を散らし、風と共に去りぬ。油断も隙もあったものではないわいな。
どうにも風流を解さぬ世の中になり果てたものです。
♪仁義なき花盗人を憎みけり 茫洋
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