バガテルop115&ふぁっちょん幻論第53回
昨日だか一昨日だかの新聞の短信で、鳩山内閣の北沢防衛大臣が、「軍服を外国から調達しているような国はない」と文句を言っていたようです。
うろ覚えで申し訳ないのですが、例の仕分け人たちが、防衛予算のうち軍服の国産経費が高すぎるので、海外調達にせよと仕分けしたことへの感情的な反発のようでした。
恐らく彼は国防の最前線に立つ自衛隊員の衣服を外国製にすれば、皮膚の外部から夷狄・毛唐の不純な血が混じり、純乎たる愛国の精神が汚染されるとでも思ったのではないでしょうか。
考えてみれば、自国防衛の大半を外国の核兵器と軍備に依存しているこの国で、軍服だけを国産にしてみたところでいったい何が変わるというのでしょう。防衛予算が足らなければ、横須賀や舞鶴に係留してある不要不急のイージス艦を、楽天かヤフーのオークションにかければ、まるで打出の小槌のように現金化できるはず。あどけない寝言をいうのはやめてほしいものです。
ところでいまや軍服はもとより、世界のお洋服は、自動車と同様どこの国に行っても「純国産」などは天然記念物&世界遺産の範疇に属し、ギャップもH&Mもユニクロもアフガニスタンのカルザイ大統領が大好きな名だたるラグジュアリーブランドも、その縫製はほとんど中欧やアジアの発展途上国に外注しています。そうでないと産業として生き延びる道がないからです。
数年前にイトーヨーカ堂が北朝鮮で縫製した超安価なスーツを、わが国の最底辺でのたうつ超ビンボー・リーマンは、いまだに愛着していることを、私だけは知っています。
縫製はベトナムやバングラディシュ、カンボジアにまかせ、デザインだけは実力のあるデザイナーに外注すれば、いまの予算の半分以下でユニクロの「+j」に負けない、安くてかっこいい軍服ができるでしょう。戦争と軍隊を憎むイデオロギーは別にして。
そもそも軍服は、ファッションの原点でした。バーバリーやアクアスキュータムのコートも、第1次大戦の英国陸軍の塹壕戦から誕生したのです。北沢防衛大臣さえ決心すれば、経営破綻に陥って苦悩しているわが国のトップデザイナー山本耀司氏などを起用して、
世界に冠たる「メード・イン・ワールドの軍服」が誕生するかもしれません。戦争と軍隊を憎むイデオロギーは別にして。
♪小松菜をおろぬこうかと我に聞く愛しき人よおろぬき給え 茫洋
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