Saturday, July 19, 2008

コクーンの建築

勝手に建築観光31回

9/11の同時多発テロ以降も、コクーンニングcocooniningの思想はしぶとく息づいている。

私たちはその証左を渋谷東急文化村のシアターコクンや埼玉県大宮市の商業施設コクーン新都心といったネーミング、さらには最近新宿西口に建設中の東京モード学園コクーンタワーや北京五輪メーン会場の建築デザインにもその格好の例を見出すことができる。

北京国家体育場は、プラダ青山店やドイツのワールドカップのメイン競技場、ロンドンのテートモダン美術館などを設計したスイスの有名な建築家デユオ、ヘルツォーク&ド・ムーロンによるものであり、すでに「鳥の巣」の愛称で親しまれている。

またモード学園のコクーンタワーは、名前どおりの繭とも見え、直立させた鳥の巣のようにも見えるが、北京と新宿のいずれもがけっして内に閉じこもらず、外部に向かって威圧的に聳えているようだ。

9/11の同時多発テロ直後のコクーンニングcocooniningの思想が、ともかく安全無害な隠れ家に逼塞しようという温和で後退的な負の姿勢であったのに対して、およそ10年を経て建てられたこの2つの巨大建築では、己の領分と身の安全をしっかりと守りながら、外部世界(先進西欧諸国や競合専門学校)に対して激しく自己を誇示しつつ攻め込み、切り込む姿勢をするどく表明している。

遠くから眺めるその姿は、「繭」や「巣」という平和的な名称とは裏腹に、盾と矛を備え、和戦両様にすばやく対応する現代戦士の象徴のように、私には映るのである。



♪ダガーナイフに罪はない ダガーを持つやつが悪い 茫洋

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