Saturday, July 07, 2007

大隈講堂を仰ぐ

遥かな昔、遠い所で第13回&勝手に建築観光20回&♪ある晴れた日に12回

私らの頃からここには大隈講堂が建っていた。昔はもっとうす汚れていたと思うのだが、お色直しでもしたのだろうか? キャンパスを歩くといたるところで普請中であるが、この大学はずいぶん金があるのだろう。

1927年に完成した大隈講堂は1999年に東京都の歴史的建造物に指定されたゴシック様式の優美な7階建ての建物である。

内藤多仲(1956年に大阪通天閣、58年に東京タワー3を設計)、佐藤功一らが設計し、大隈重信の「人生125歳」説にちなんで高さ123尺(約37.8m)になっているそうだ。
全体の外壁のタイルは信楽焼でその滑らかな質感が高雅な情緒を醸し出している。

塔上には時計台がある。その時計台の4つの鐘が、英国のウエストミンスター宮殿と同じメロディで一日5回鳴るそうだが、私は一度も聴いたことがない。きっとそれどころではなかったのだろう。

内部の天井には宇宙を表現した楕円形の採光窓があるが、私はたしかこの天井の下で「劇団こだま」の公演に参加したことがある。友人がチエロを弾いていた大学オケを聴いたこともある。

私のささやかな音楽体験によると、いかなるプロのオーケストラよりも、たとえそれがベルリンやヴィーンのそれであっても、世界中のアマチュアオケ、とりわけわが国の大学や中小都市の群小オケのひたむきな演奏のほうに大いにぶがある。

技術的には数等劣る、吹けば飛ぶようなアマチュアオケの、たった1小節の演奏にも、いきなり人の心をわしづかみにし、不意の涙がちょちょぎれる一期一会の感動があり、それは例えば、かの足助名時が指揮する哀れ超凡庸なN響などに1000回足を運んでも、絶対に、絶対に得られないていのものなのですよ。

しかし頭の下に耳が、耳の真ん中に鼓膜がなくて銘柄にくるい、心に正義と太陽がないオタマジャク愛好者どもには、こんなみやすい道理が、こんな聴きやすい子守唄が、たとい7度生まれ変わろうとまったく見えども見えず、聴けども聴けないのだ。にゃろめ。

そして昔からバカダ、バカダと呼ばれ、なんのとりえもないこの大学にも、たったひとつ、世界に誇る素晴らしい学生オケがあるのである。

♪反歌
時おりは腐乱死体にて漂えり明大前の夜の鯉かな
明大前の最終電車は発車せり池の縁にてなおかがまれる一人
中秋の名月ひとり輝けり五分の叙情をわれに許す

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