Wednesday, February 22, 2012

増村保造監督の「暖流」を見て

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.205


原作は岸田國士だが、これは2回映画化されていまして、私が見たのは監督が増村保造、脚本は白坂依志夫、野添ひとみ、根上淳、船越英二、左幸子、山茶花究などが出演した2度目の1957年版です。

岸田は鎌倉の素敵な別荘に住んでいたので、当時の人跡稀な鎌倉や荒涼とした海岸が登場する。最後から2番目のヒロイン&ヒーローの印象的なロングショットもこのロケーションが見事に生かされておる。

お話としてはその鎌倉の名家が経営する古い病院の没落と内紛を主題としたもので、死病で余命いくばくもない病院長から経営の立て直しと一族の面倒を見ることを命じられた根上淳が獅子奮迅の大ナタ振るいをやってのけるのですが、結局やりての浪速商人の山茶花究によって追放されてしまうことになる。

 驚くべきは根上淳を異常なまでに熱愛して終始徹底的につきまとい、最後には男を根負けさせてしまう看護婦役の左幸子で、身体を張ったその猛烈な捨て身の演技は、彼女の代表作である今村昌平監督の「にっぽん昆虫記」のそれにおさおさ劣るものではない。

増村のポップな演出も次第に盛り上がりをみせ、ナカンズク病院長のアホ馬鹿長男船越英二と継母がデユエットで歌うアホ馬鹿音頭のくだりは最高にシュールである。1939年に吉村公三郎監督、高峰三枝子主演で製作された第1回目の作品も、生きている間にこの眼で見たいものだ。


横須賀のリンガハットでモザールのBGM聞きながら長崎チャンポン 蝶人

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