bowyow megalomania theater vol.1
食べ終わったあと、みんなでたき火の周りで踊りました。
もうすでに陽は落ち、とっぷりと暮れ、まわりの山々は黒い影絵のように沈み込み、一番星が南西の空にぴかぴか光っています。勢いよく燃えるたき火の日がパチパチとはぜるのを眺めていると、それだけで心が満たされてくるようでした。
公平君は文枝の手を取ってワルツを踊りました。のぶいっちゃんとひとはるちゃんは、火のまわりを交互に飛びあがり、かいくぐり、飛び、はね、狂ったように逆立ちし、叫び、また踊りました。
いつの間にか洋子が座り込んでいた僕の両手を引っ張って立ちあがらせ、ぴったりと身体を寄せてきました。やわらかい髪が僕の頬をそっとかすめたとき、僕の頭の中はぼおっとなって何が何だか分からなくなりました。洋子ちゃんはとてもいい匂いがしました。
わたし、岳君が大好きよ。
と、洋子は囁きました。暗闇の中、僕の耳元で小さな空気が甘く動きました。
大好きよ。
もう一度囁きながら、洋子はやわらかな太腿を僕の腰にぴったりくっつけてきたので僕はあえぎました。洋子の頬も胸も腹も僕の頬と胸と腹に強く押し付けられてきたので、僕は息ができなくなって、いつの間にか銀のような星があちこちでまたたいている夜空を見上げていました。
どこかでオオカミがウオー、ウオーと三日月に向かって吠えていました。
僕は幸福でした。
逗子ゞと音だけ聞こえる花火かな 茫洋
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