Friday, August 15, 2008

宇苗満著「幻の鎌倉」を読んで

照る日曇る日第147回&鎌倉ちょっと不思議な物語141回


今日は敗戦記念日なのに、今年11回目の海水浴。風波強く全身砂まみれになった。
同じ由比ガ浜の海なのに、毎回様子が違うので飽きることがない。

さて本書だが、著者は鎌倉新宗教の一方の旗頭である一遍についての逸話を掲げている。

一遍上人が鎌倉に入ろうとして巨福呂坂切通しにやって来たのは弘安5年1282年3月1日のことだった。ところがちょうどそのとき蒙古来襲の戦死者供養のために円覚寺を建築中だった執権の北条時宗がやってきて一遍上人一行と鉢合わせをしてしまう。

当時ちょうどこの地点に関所があり、一遍は警護の武士によって棒で何度も打たれたがいささかもひるむことなく入鎌を目指したが、時宗はそれを許さなかった。

その夜、一遍は工事中の円覚寺から離れた建長寺に独り向かった。境内には仏光国師(無学祖元)が座禅を組んでいたので、一遍は「踊り跳ねて伏してだにもかなはぬを、居眠りしてはいかがあるべき」と詠んだところ、仏光国師は「踊り跳ね庭に穂拾う小雀は、鷲の棲家をいかが知るべき」と返したという。

これによって一遍上人は大悟し、一同が野宿しているところに引き返した。現在の光照寺がその法難霊場であるというのだが、これはいかにもまことしやかにしてたぶん根も葉もない史実であろう。

ちなみに光照寺は実在し、時宗遊行寺派の名刹であるから一遍とは深いつながりをもっている。まゆつばなのは大悟うんぬんの一条である。


何と言っても63年間戦争しなかったのだ 戦後日本に三度乾杯 茫洋

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