照る日曇る日第132回
エーゲ海の孤島パナリア島に眠る死と亡霊の都ホーラを舞台にした「カルチャー×ホラー×ラブストーリー」である。
基本は壮年建築家と閨秀バイオリニストの許されざる恋の物語であるが、そこに観光名所やらギリシャやヴェネツイアやオスマントルコの歴史やらキリスト教との宗教&文化衝突やら沈没船から引き上げられた悪魔のヴァイオリン銘器だのその呪いだのがてんこ盛りに盛り込まれたサービス精神満点の娯楽読み物である。
料理にたとえると松花堂弁当か具の多いラーメンライスのようなものだろうか。すぐに腹いっぱいになるが食べた瞬間にどんな味だったか忘れてしまいそう。
しかし知性も教養も向学心も品格もある女流作家の作品だけに、最近の痴呆的ヤン・グーどものあほばか日本語とは2らんく上の読ませる文体と文章で磨き上げてあるのがなによりである。
死刑まで国にゆだねてよろしいのか巨悪なんぞは心のままに討ち果たすべきでは 茫洋
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