遥かな昔、遠い所で 第6回
一 (新年) パソコンを開けば思はぬ賀客かな 杉月
二 (新年) ネットを揺らす獅子舞踊 あまでうす芒洋
三 (春) 梅林に黒猫一匹横切りて 峯女
四 (春) 主人はひとり春炬燵する ろく水
五 (春・月) おぼろ月異郷の家並みにかかりをり 杉月
六 (雑) 太郎は寝たが次郎目覚めつ 芒洋
(初折裏)
七 (雑) 夢が躍る時が過ぎゆくしんしんと 峯女
八 (恋) かどのご隠居朝帰りして ろく水
九 (恋) 千早振る神代大夫に恋焦がれ 芒洋
十 (夏) 卯の花匂う垣根飛び越え 峯女
十一 (夏) 白球を「はてネ」と拾ふ夏帽子 ろく水
十二 (雑) 托鉢僧が独り佇む 杉月
十三 (秋・月) 列島をはるかに照らせ秋の月 芒洋
十四 (秋) 鳥島南方台風北上 杉月
十五 (秋) コンビニの傘無残なり天高し ろく水
十六 (雑) 幼な児追いし赤い風船 峯女
十七 (春・花) 花曇遠き日の鬱よみがえり 杉月
十八 (春) 風光る原友と進まん 峯女
(名残表)
十九 (春) 春の果て地下六尺に眠る犬 芒洋
二十 (雑) 漆黒の夜に連れ笑いして ろく水
二十一 (雑) かがり火に馳せ集ふたり京のもののふ 杉月
二十二 (雑) コミューンに燃えた七十二日 峯女
二十三 (冬) 血塗られし壁に動かず冬の蝿 芒洋
二十四 (雑) 足滑らせて尻餅をつく ろく水
二十五 (恋) 宙に飛ぶ少女の腓うち震え 芒洋
二十六 (恋) 上げたばかりの前髪乱れ 峯女
二十七 (恋) 哀しみに耐えて瞳をそらしをり 杉月
二十八 (雑) 車窓はるかに望む鐘楼 ろく水
二十九 (夏・月) 雨上がり静かな村に月涼し 峯女
三十 (夏) わが掌の平家蛍よ 芒洋
(名残裏)
三十一 (雑) 友臥せり本を命の余命いくばく 杉月
三十二 (雑) 故郷の味する持参の饅頭 ろく水
三十三 (雑) 踏み切りを渡れば唱歌聞こえ来し 杉月
三十四 (雑) あろんざんふぁんなむあみだぶつ 芒洋
三十五 (春・花) つかのまの乱舞を誘う花吹雪 峯女
三十六 (春) 若葉翳さす静が舞台 ろく水
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