三歌仙
発句 鎌倉の谷戸に咲きたり岩煙草 あまでうす芒洋
脇 そぼつ五月雨烟るむらさき ろく水
第三 早乙女の笑顔まぶしき昼下がり 峯女
四句目 誰かさんが眠っているよ小麦畑 芒洋
五句目 名月に栗も団子も間に合わず ろく水
六句目 可不可を論ずる虫たちの声 峯女
折立 むざむざと捕えられたり秋蛍 芒洋
ニ句目 かこち顔して恋文を打つ ろく水
三句目 ブラームスお好きかどうかと問い掛けて 峯女
四句目 セーヌ左岸で都々逸を唸る 芒洋
五句目 葡萄酒も時のかなたの偏奇館 ろく水
六句目 踊り子ひとり爪を眺める 峯女
七句目 寒月や朝まで照らせ伊豆の海 芒洋
八句目 群雲たちて風花の舞う ろく水
九句目 浅きゆめ目に焼きつきし煌めき残す 峯女
十句目 五〇過ぎれば下天も楽し 芒洋
十一句目 北面の武士いざないし桜花 峯女
折端 草の茵の春宵値千金 ろく水
折立 太平の眠り覚ますや猫の恋 芒洋
二句目 敗れて逃げしトタン屋根かな 峯女
三句目 欲望という名の電車に飛び乗りて ろく水
四句目 ナッシュビルにてブランチしたり 芒洋
五句目 あらまほし喉すべりゆく冷奴 峯女
六句目 今どきの娘は浴衣にサンダル ろく水
七句目 ざんざ降り下駄の鼻緒は紅染みて 芒洋
八句目 小癪なおきゃん水仙めでる 峯女
九句目 球根のひげ根はびこる水栽培 ろく水
十句目 ワッと驚くキューリー夫人 芒洋
十一句目 ワルシャワの蒼白き月ラボ照らし 峯女
折端 貧乏書生は着重ねが好き ろく水
折立 暗闇の坂を下れば雁が鳴く 芒洋
二句目 無縁の人になごりを惜しみ 峯女
三句目 良縁も運がいいやら悪いやら ろく水
四句目 後の祭りは世の習いなり 峯女
五句目 浅草や雷門に花吹雪 芒洋
挙句 盛り塩清し春の夕暮れ ろく水
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