鎌倉ちょっと不思議な物語第205回
猛暑の白露の翌日はさすがに温度が少し下がって午後遅くには一雨ぱらついた鎌倉です。
今日は完ぺきな無気力状態に陥ったので、この秋、鎌倉を散策してみようとお考えの方ににわか仕込みの一日観光コースを考えてみました。
①まず鎌倉駅東口で降りて改札口を出たらすぐ右隣にある観光案内所にある「9月号の地図」をもらいましょう。(無料)。そして「かまくら四季のみどころ」で紹介してある「初秋散歩道」をたどりましょう。(なおこの「かまくら四季のみどころ」の裏面がとても簡単かつ分かりやすい地図なので重宝します。他のあらゆる地図はこれがあれば無用です。
それから鎌倉ガイドブックの最高峰は鎌倉市教育研究所が編集し教育委員会が発行している「かまくら子ども風土記全4冊」で、現在にいたるまでこれ以上のものはありません。最近英文版も発売されたようです。
②次に駅左側の地下道をくぐって裏駅(西口)に向かい、栄西が開いた寿福寺からはじめて現存する鎌倉唯一の尼寺英勝寺、緑豊かな谷戸の突き当たりにある海蔵寺、足利尊氏ゆかりの浄光妙寺を訪ねてから、鶴岡八幡宮に詣でます。寿福寺では中原中也の旧居、浄光妙寺では里見弴の旧居と柳美里の新居を見物しましょう。
八幡様の入口の鳥居をくぐってすぐ左手の平家池からのぞむ県立近代美術館が坂倉準三の設計です。右手のもっと大きい池が源氏池でまだ白い蓮の花が咲いているかもしれません。この源氏池の近くにあった茶店で中原中也がビールを飲みながら「ああ、ボーヨー、ボーヨー」と喚いたところです。(小生の俳号はここからとりました)
続いて鳥居を直進して実朝が暗殺された大銀杏を左に見ながら八幡様にお参りしてください。
③鳥居さんのところまで戻ったらまん前の道を左に折れて(右に曲がると北鎌倉)50m直進し、ぶつかったところにあるのが萩の寺で有名な宝戒寺です。足利尊氏が自分が滅ぼした北条氏一族の霊を慰めるために後醍醐天皇の命で作った寺です。私の好きな鎌倉時代の武将泰盛が平頼綱に暗殺されたのもこの付近でした。
④「初秋散歩道」のコースはここでおしまいですが、ついでに宝戒寺を出た前の道を左折してどんどん南下します。(宝戒寺の前方一帯が鎌倉幕府の所在地でこのあたりに諸将が住んでいました)。この小さな細い道が鎌倉時代のメーンストリートで途中左に日蓮辻説法跡の碑が立っているように左右には日蓮宗のお寺があります。10m進んだ右側の奥が吉田秀和の家の裏側、200mで右手に本覚寺というやはり日蓮宗の大きなお寺がありますが、ここを右に見ながら二股道を左折して鬱蒼とした森に囲まれた妙本寺の階段を上ります。ここは比企寺とも言って北条氏に滅ぼされた比企一族の鎮魂の寺ですが、祖師堂前のカイドウ(今のは新しい奴)が有名です。やはり先ほどの小林秀雄の「中原中也の思い出」に出てくる晩春の暮方の落下狼藉の情景でおなじみ。観光客がほとんどこないかわりに、可愛らしい野良猫が出迎えてくれるお薦めスポットです。
⑤元来た道を引き返して本覚寺の裏門に入って本堂左脇にある正宗のお墓に詣で、本覚寺の右奥の小道を直進すると再び駅前の大通りに出ます。駅まで2分ですがその道はいきずりの誰かに尋ねてください。
⑥駅の右側にある東急ストアの1階で売っているおむすびかサンジェルマンのサンドウイッチとお茶か水を買ってから最初の鎌倉駅東口に戻って西口に改札口がある江ノ島電鉄に乗車して長谷駅で降り、長谷寺と大仏を見物しましょう。駅のプラットホームで大船軒の名物「鯵の押し寿司」を買ってどこかで食べるのもいいでしょう。
♪こんなもんぐたぐた書いてなんになるだんだん身苦死がいやになる 茫洋
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