Monday, September 07, 2009

白露日記

バガテルop113

今日から学校の授業が始まったのですが、完璧に夏休みボケしていて教室のフロアをひとつ間違えてしまいました。クラスの担当の先生と助手の方が教室の入り口で私が来るのを待っていて下さったのですが、私がなかなか姿を現さないのでずいぶん心配されたようです。ごめんなさい。

この1カ月、長い間人間とは口を利かずに海の魚や庭の長崎アゲハや峠道の道案内(ハンミョウ)や油蝉や藻屑ガニなぞとばかり対話していたものですから、急に人前で1時間以上も上手にしゃべることなどできはしません。
案の定当初の予定から大きく脱線して広告戦線1985年の乱などという本論とはまるで無関係のうわごとを速射砲のように連発したものですから、わが愛する選手たちは大いに戸惑ったに違いありません。

実は夏休み前にクラスの2人の学生が退学してしまったというので、もしかして私の講義がつまらないから辞めてしまったのですかと尋ねたら、そんなことは絶対にありません。と否定されたのでひとまず胸をなでおろした次第ですが、顧客満足を果たせない教師と政党は早晩退場せざるを得ません。

普通学校の授業では1コマ分のコンテンツに対しておよそ7倍の情報量を用意し、臨機応変に対応すべしとされていて、私もそのようなデータだけは頭の中に内包して教壇に登っているのですが、問題はいざ口を開くやそのコンテキストとはまったく裏腹な方向へ走りだしてしまうことです。

学校の授業は中原中也絶叫コンサートではないので、できるだけ理性的に全体をコントロールしなければいけませんが、かといって作ってきたメモをただ読み上げたり板書するだけでは全国の学友諸君に飽きられて即ねんねぐーされてしまう。

熱い心を秘めた冷たい言葉、というのが理想的なのでしょうが、何百回繰り返してもうまくいったと思うことはほとんどありません。
気力、体力、情報力、瞬間統合力、憑依力の5つの条件が備わっていないとこの長丁場を成功裏に乗り切ることはできないのです。そういう意味では、授業はミュジシャンの1発ライブ、あるいはクナパーツブッシュの練習なしの本番演奏と酷似しているということができるでしょう。

そのこころは、鬼が出るか蛇が出るか。うまくいったらお慰み。


♪鬼が出るか蛇が出るか屁も出ざりき今朝の授業 茫洋

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