♪ある晴れた日に 第66回
馥郁と月下美人香る生田山伊東静雄の愛弟子逝きけり
横浜の坂の途次なる三差路のビルの上なる2匹の猫かな
やい池澤夏樹下らぬ三文小説をセレクトするな
古池を埋める儀式を執行し郷里の我が家解体されけり
秋風やとぎれとぎれに泣いているひとりぽっちの油蝉かな
くたばれスタインウエイと呟きながらヤマハを弾く夕べ
鬼が出るか蛇が出るか屁も出ざりき今朝の授業
あと2年辛抱すればわが世の春神ならぬ人の悲しさ哀れさ
獣道を狂気のごとく走る自転車は凶器なり
横須賀線で母親と押しくら饅頭しているお下げの姉妹
生涯ただ一度の大音響を発して極楽往生せしは慶日上人
45日間無利息にだまされて夜逃げしたらあんたが助けて呉れるのか余裕のゆうちゃん
八幡宮長谷寺英勝寺光明寺鎌倉の寺社みな白き蓮
植物の手と手互いに争わず光に向かいて平等に伸ぶ
食べ歩いても食べ歩いても失望す名物に旨いものなし
男一匹生きるも死ぬもこの時ぞこの時ぞ
去んぬる如月母君を神隠しに遭うた男けふペットボトル捨つ
情報の掃溜めと化したR25んなもの誰も要らん
こんなもんぐたぐた書いてなんになるだんだん身苦死がいやになる
雨に打たれ街路に伏せたるアブラゼミ拾いて朝顔の葉に乗せたり
鳥海山より岩木山を直視したるわが眼を鏡で見ている
かねてよりのわれの望みを叶えるはわれならぬリヴァイアサンの蜂起なりしか
植物はあらゆる方向に触手を伸ばす
君と僕夫婦であぶる仲にして
あなたと私夫婦であぶる仲良しこよし
投じたるすべての票が死なざりき
花の名をよく知るひとの床しさよ
けふもまたちゃんちゃらおかしくいきにけり
陰茎のタマタマほどの寒さかな
ちんぽこを握ればふぐりの冷たさよ
処暑の夜わが陰嚢の冷たさよ
累々と蝉横たわる峠かな
箱根山一句も浮かばず下るなり
黄金虫救ってやりしうれしさよ
♪くわんれきの次なる環に踏みいれず宙外はるか消え失せし友 茫洋
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