Sunday, August 30, 2009

西暦2009年文月茫洋歌日記

♪ある晴れた日に 第64回


政権の交代求め民動く世が変わるとはかくのごとし

理非にあらず曲直も問わず遮二無二人は旧きを倒す

かねてよりのわれの望みを叶えるはわれならぬリヴァイアサンの蜂起なりしか

神の手が至高の演奏を作るなりカラヤンごっこは今日も続く

嗜虐者なるかはた被虐者なるか弦打ち鳴らす黒髪の人

蝉時雨いっさんに走り抜けるぬける熱き心よ冷たき頭よ

いとやすく大いなる便をひりだして偉大な事業なし終えたるがごとし
 
幻の鰹を求め海に出る実朝が乗りしさすらいの宋船

もう二度と見ぬ海山空花こころゆくまで眺めたり 

わが眼裏になおもうるわし庄内平野白砂青松

逗子の海潜れば群れなす魚たちメビウスのごとわれも泳ぎき

昭和20年5月23日鎌倉十二所山林に初めて焼夷弾落つと吉野秀雄書く

みなそこのわがしんちゅうにたぎるものおんとえんぬぱんちーる

受けて落ち受けても落ちる学生にぐあんばれとしか言えぬ悔しさ虚しさ
 
手を振れば車より身乗り出し両手振り返したり神奈川4区長嶋一由

魚ならば溺れることもあるまいに海空陸の大レスキュー隊

西瓜ほどおいしい果物はないいずれは君にも分かるでしょう


世の中は明日待たるるその宝船

見よ汝が心中より露頭せしもの

六人の美女訪れし月夜かな 

月の下美人が戻るお盆かな
 
老舗滅び月下美人咲く夕べかな

青蛇や青縞光らせ草に消ゆ

処暑の夜わが陰嚢の冷たさよ

名も知らぬ蝉は鳴きたり鳥海山

油蝉交接終えて身罷る

逗子の海魚に混じりてわれも泳ぎき

古書市や芥川全集3500円で叩き売る

百合の薫りあまりにも強すぎる

けふもまたちゃんちゃらおかしくいきにけり


♪生涯ただ一度の大音響を発して極楽往生せしは慶日上人 茫洋

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