Tuesday, February 17, 2009

荷風いわく「鳥打帽はパリの新聞売りのためのものだ」

ふあっちょん幻論第36回 メンズ漫録その14 断腸亭主人紳士洋装論その5

永井荷風またいわく。帽子は洋服に合わせること。鳥打帽は銃猟、航海旅行用、そしてパリの新聞売りのためのものだ。黒の山高帽が普通である。

米国の東部の都市では晴雨ともに風の勢いが甚だしいので、中折れ帽は吹き飛ばされて不便である。その点夏炎天下でも山高帽は大層具合がよろしい。

中折れ帽は春から夏にかぶるべきものであるが、毎年色々な流行があるので、すべからく背広に合わせよ。日本人の古ぼけた中折れは西洋では職人労働者のものだ。

ただし米国では白人階級の上下の差別が無いため、日曜日には職人も黒の山高帽を頭にのせて女房同伴で教会へ行く。パナマ帽は英国で少しは見かけるが、米国では全然見かけない。英米はなんといっても麦藁帽が主流である。


おちよおちよみなおちよ世界の底が抜けるまで 茫洋

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