茫洋物見遊山記第21回&鎌倉ちょっと不思議な物語第213回
遠くに由比ヶ浜の海を高台から望む当館では4月18日まで「鎌倉と詩人たち ことばを旅する展」が開催されています。収蔵品展鎌倉文人録シリーズの第4回です。
今回は島崎藤村、蒲原有明、北原白秋、萩原朔太郎、日夏耿之介、野口米次郎、中原中也、西脇順三郎、三好達治など鎌倉ゆかりの詩人たちの詩稿や書や詩集、遺品などを紹介しています。
高見順愛用の一輪挿しと壺、尾崎喜八愛用の竹笛と小型双眼鏡なぞはどうでもよろしいが、萩原朔太郎の「乃木坂倶楽部アパートメント」の草稿や昭和13年に創元社から出版された中原中也の詩集「在りし日の歌」などはありがたさに涙がちょちょぎれる思いです。
田村隆一と女を争奪した北村太郎の2人の「荒地」派詩人の作品が肩を並べて展示されているのもなかなかおつなものです。田村隆一の詩は、例えば「平家は好きだが源氏は嫌いだ」という対比法的な手法で原稿用紙の途中まで書かれていましたが、うろおぼえですが「日本人は好きだがアメリカ人は嫌いだ?」などと書いて抹殺したあたりで完全に行き詰まってしまったようで、とうとう未完のままで放り出してありました。
うまくいくかわかりませんが、彼に代わってそのあとを続けてみましょう。
平家は好きだが源氏は嫌いだ。
桜は嫌いだが梅は好きだ。
猫は好きだが犬は嫌いだ。
酒は好きだが酔っ払いは嫌いだ。
池袋は嫌いだが谷中は好きだ。
黒沢は嫌いだが成瀬は好きだ。
ショパンは嫌いだがシューマンは好きだ。
高層ビルは嫌いだが木造平屋は好きだ。
靖国神社は嫌いだが十二所神社は好きだ。
日本国は嫌いだが日本人は好きだ。
日本人は好きだが僕は僕がいちばん好きだ。
♪母上の大好物のグレープジュース食わずになりて久しきことなり 茫洋
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