バガテルop117
歳月怒涛のごとく来たり、突風のごとく去りゆく。あっと言う間に今年が終わり、すぐに来年がやって来るようです。そのことを、昨日訪れた某住宅改造会社のカレンダーが教えてくれました。
さて、毎年特定の芸術家を選び、彼が書き残した和洋の数字でカレンダーをつくるこの会社のアイデアは秀逸で、昨年度の夏目漱石編を、私は12カ月とっくりと楽しむことができました。
2010年度は、なんと宮沢賢治編の登場です。「お母さん。いま帰ったよ。」というのがこのカレンダーの表題になっているのですが、それは賢治の「銀河鉄道の夜」から採られたワンフレーズ。第3章の「家」でジョバンニがちょうど帰宅したときの言葉ですが、それが私の胸にいきなり飛び込んできました。彼の自筆の丸い字の跡をじっと見つめていると、この不世出の詩人宗教家の姿が生き生きとよみがえってくるようです。
またこのカレンダーには、「雨ニモマケズ」や「永訣の朝」の自筆原稿、妹クニの娘のイラストや動物のスケッチなども掲載されており、四季折々に彼と彼の生涯を回想することができます。
お母さんいま帰ったよと言える人なき年の暮れ 茫洋
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