Wednesday, December 23, 2009

プッチーニのオペラ映画「ラ・ボエーム」を視聴する

音楽千夜一夜第101回

昨日に続いてのプッチーニですが、今日のは1896年に作曲された代表作の「ラ・ボエーム」です。1889年の「エドガー」とは別人のように洗練された技法で、男女の別れを切々と歌い上げます。

「ラ・ボエーム」といっても、これはロバート・ドーンヘルムが映画化したもの。いまウイーンで人気のド・ビリー指揮バイエルン放響をバックに、ミミをネトレプコ、ロドルフォをビリャソンという超人気コンビがスタジオ録音した音声に、特設セットでの映像をコラージュした代物なので、ライブ公演と同日に談じるわけにはいきませんが、なかなか楽しめます。

 しかしこの「ラ・ボエーム」を見ていていつも思うのは、3幕のダンフェール門外の悲しい別れの理由。ミミの病気がひどくなったから、自分がいては回復の妨げになるので別れる、とロドルフォはほざきますが、大好きな女が死にかけているなら、普通の男なら最後までケアをするのではないでしょうか。

それなのに、やれ「寒い冬にひとり切りは耐えられない」、とか「せめて花が咲く春に別れたい」とか口々に「意気寂しがっている」のがちゃんちゃらおかしく聞こえます。まあ雪降るここで一回別れておかなきゃ4幕の愁嘆場が生きてこないからだということは分かるのですが、それにしても人間の心理としておかしいといつも疑問に思うところです。

ところでネトレプコ嬢は、ザルツブルクをコケにしたりして、世界中でひっぱりだこの人気のようですが、私は歴史に残るほどの歌手とはとうてい思えません。無色透明で小奇麗な歌い口ではあるけれど、まるで出来合いの機械仕掛けのお人形が口パクで歌っているよう。結局は真の個性がないのです。少なくとも私の趣味ではありません。

♪メリークリスマス!この年夏日本で死んだテレサ・ストラータス恋し 茫洋

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