昔の歌
☆西本町の歌
西本町の路地裏の遊び場で、3人の少年が地べたに座っていた。
「でんばら、でんばら、でべそ」
と、小学3年生の長井まことが歌うようにしていった。
すると、同じ3年生の出原ひでおが、同じメロディで
「なーがい、なーがい、あ、そ、こ」
と、歌った。
それから2人は、意味深長な含み笑いをしながら
一年坊主のわたしを見た。
わたしは、「あ、そ、こ」がどこであるかを理解していたが、
黙っていた。
そのとき西本町の空はゆっくりとたそがれ、
地軸はどろろ、どろろと回っていた。
☆挽歌
武満1周忌のFMを聴きながら思う。
やはりこの人の音楽はあくまでも日本の上質の音の調べなのだなあ。
現代音楽なのに、古層には弥生人の叙情が深々と歌われている。
そしてそれがそのまま世界の隅々の人々を感動させるのであるなあ。
坂本龍一君も高橋鮎生もそこを目指しているのだろうが、まだまだだなあ。
君たちは少し頭が良さすぎるよ。もっと阿呆になりたまえ。
いま武満の最高傑作の「波の盆」が私の部屋に鳴り響いている。
これは今は亡きセゾングループの、70年代日本の、青春の、その他もろもろの古きよきものたちへの挽歌です。
諸君。涙せよ!
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