Showing posts with label エッセイ 映画 日本. Show all posts
Showing posts with label エッセイ 映画 日本. Show all posts

Sunday, December 02, 2012

豊田四郎監督の「夫婦善哉」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.355

こないだ亡くなった淡島千影がもっと昔に亡くなった森繁久弥と組んで演じる大阪浪速の夫婦善哉。苦労と涙と儚い望がちょちょ切れる正統的な日本映画ですわ。偉いこっちゃ。

主役のヒロイン、ヒーローがいい味を出しているが脇の浪速千枝子、山茶花究が見事に脇を引き締めている。遠くの金より手近の銅というとこないだオリンピックの日本選手のようだが、いくら長男であってもこんな商魂商才のない長男坊には名門商店の跡を継ぐ資格など無い。

好きな水商売の女に救われたあかんたれの跡取りを森繁が好演。法善寺横丁の無水掛け不動尊に願掛けて老残の道を手に手を取って駆けだす2人に幸あれと願わずにはおれない。


君はどんな目に遭ったのと尋ねてもただ手を舐めるだけ被災地からの犬 蝶人

*上記の短歌が昨2日「日経歌壇」穂村弘氏の選に入りました。第1席は初めてなのでとてもうれぴいなあ。なおこの和犬の次郎がトップ映像。哀しい目をしています。

Tuesday, July 03, 2012

山田洋次監督の「馬鹿まるだし」を見て






闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.269



ハナ肇が無法松のような役回りで桑野みゆきのご新造さんを恋い慕うというどこかで見たり聞いたりしたような人情ヨタ噺。

演技以前のハナの周囲をクレイジーキャッツの面々が取り囲んで観客を笑わせようとするが、ただの一度も笑えない喜劇映画。山田洋次も凡作の多い監督である。


馬鹿まるだしを屁とも思わぬ奴ばかり 蝶人



Tuesday, May 15, 2012

今井正監督の「仇討」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.247


なんといっても中村錦之助が圧倒的に素晴らしい。名監督に頤使された大根役者がかくも迫真の演技をもたらすとは、かの川島雄三における石原裕次郎に相似たり。さすがは今井正なり。橋本忍の脚本が良く出来ているが黛の音楽はシナエリオに付き過ぎ。どうせアルバイトの仕事だが、こういう微細な技術はとうてい武満には敵わない。ここでも三島雅夫が好演している。

 ふとしたもののはずみで2名の上級武士を剣で斃してしまった馬廻りの次男坊錦之助が、なんの落ち度もないにもかかわらず藩の役人のご都合主義で仇討ちされるという大チャンバラ悲劇。ラストの猛烈な血刀を大車輪で振り回しての決闘は思わず手に汗握るすさまじさであるが、楚々とした許嫁の三田佳子の白いうなじに挑発された錦之助が、思わずむらむらとなって納屋に連れ込んでらんばうしてしまうエピソードも忘れ難い。

で、今井正は、事が果てるまで女の声だけを聞かせて庭の数羽のちゃぼがえさをついばむシーンだけをしばらく映しているのであった。チャンチャン。


世の中は所詮金なりとく消えよ金なくば生きてゆけぬこの世の中 蝶人