照る日曇る日第559回
本書は、おふらんすの文豪バルザックが彼の生涯でもっとも力を入れた珍無類な世紀の奇書の第一弾である。かのフランソワ・ラブレーの顰に倣い、ヴェルヴィルをお手本として1832年に腕によりをかけてでっちあげたお洒落で愉快なおふざけポルノ大全であるが、これほど正月にふさわしい書物もないだろう。
ここに登場するのは絶世の美女や偽りの処女たち。そして高名にして色好みのフランスの王侯貴族や司祭、女房寝とられ亭主たち。彼らが仕出かす今も昔も変わらぬ男と女の色ごとの数々を10のエピソードにめでたくまとめて面白おかしく談じている。
第5編「ルイ11世陛下のご遊来」では、「糞は暖きを垂れ、酒は冷たきを飲み、固くそ(ゴシック部分は、バルザックが原文でラブレー風の言葉遊びをしている)そり立てて後、下方に萎えさせて已む」をもって人生の欠くべからざる四快事とみなされたこの帝王の逸話が紹介されている。
彼は宴会に招いた貴賓や美女たちにわざと悪いものを食べさせ、にわかに下痢をきざした彼らがとうとう豪華絢爛な衣装の中に排泄するさまを哄笑する悪趣味の持ち主であったが、一方では彼の命令に背いて別人を殺してしまった部下、そして本来は消してしまうはずだった人物を「吊る」さず、許してやる程度の寛大さも併せ持っていたのである。
美人のケイコチャンがおしっこやウンチをした便器がお庭に捨てられている 蝶人
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