Sunday, January 06, 2013

山形国際映画祭グランプリ、王兵監督の「鉄西区第一部工場」を見て




闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.376

中華人民共和国遼寧省の瀋陽の銅や鉛の精錬工場の浮沈を描き尽くした4時間を越える長編ドキュメンタリー映画で、03年の山形国際映画祭グランプリに輝いたそうだがそれもなるかなの秀作だ。

この工場はもともと中国を侵略した日本帝国が資源確保のために作ったのだが、この老朽施設が多くの労働者の手で稼働し続けていた。しかし工場群は2000年代に入って経営に失敗して次々に労働者は解雇され、ついに施設自体が閉鎖されるにいたるのだが、その間の労働者の悲惨な生活や工場の劣悪な環境をキャメラは冷静に見詰め、とにもかくにも生き続けることの過酷さと切なさをしみじみと訴えかける。

そして王兵以下のスタッフも、息を殺してその画面を流れる時間を生きているように感じられるのである。

職は無く金無く友無く望み無き若者たちに冬は来にけり 蝶人

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